短歌連作7首。姫島村の七不思議によせて

阿弥陀牡蠣(あみだがき)」

洞窟に異形の様で生きる牡蠣

阿弥陀如来に姿を似せて



拍子水(ひょうしみず)」

おはぐろの口ゆすぐとき岩の間に

水の湧き出る姫の手拍子



かねつけ石、別名:おはぐろ石」

なしかえ、石の硬さをなしにして

くっきり猪口と筆の痕あり



浮田(うきた)」

田は揺れる

埋めてしまったことわりよ

土に眠れる大蛇の怒り



逆柳(さかさやなぎ)」

姫様の柳の楊枝逆さまに

土に挿し入れ柳 芽を出す



浮洲(うきす)」

ちはやふる神の気持ちの通う洲に

荒ぶる波は決して届かず



千人堂(せんにんどう)」

いつの世も鬼を生むのは人の業

善の千人かくまうお堂



詩情と伝説の島「姫島村の七不思議伝説」より

mikamiryo

短歌作家・三上りょうのしごと部屋